私とアイドルと鈴と

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最後のナンバー、ルーザーヴィルが始まる

自担(瑞稀くん)と自担のメンバー(克樹くん)が出演するということで、「ミュージカル ルーザーヴィル」観劇してきました〜!!

当初の予定より回数が増えてしまうぐらいには楽しかったし好きな舞台だったので、久しぶりに感想ブログです。というかブログサボりすぎ。

記憶を頼りに、相変わらずの自己流解釈ですが、よろしければお付き合いください。

あ、ネタバレしかしませんので!何卒!

 

 

 

 

 

1971年のアメリカが今回の舞台。

"負け犬"の名がついた「LOSERVILLE」で暮らす、夢見る高校生のおはなし。

今回の軸はやっぱり"夢"とか"未来"かな〜と思ってて、これからを担う若者たちの青春をフューチャーした作品…っていう解釈で合ってますかね?

そんなストーリーの中で、台詞や歌詞や演出に込められている(かもしれない)意味とか思いを、自分の感性や他の人の感想を参考に考察してみました。

 

まずひとつ特徴的だったのが、歌うシーンで"ハンドマイク"を使うこと。

ミュージカル舞台もミュージカル映画も、歌唱シーンって非日常的な要素が含まれるじゃないですか。

自分の心情を突然でけえ声で歌い出したり、状況説明や会話をメロディーに乗せたり、現実世界でやったら普通に変な人だし。

そういうストレートプレイとはまた違った表現をより際立たせた、あえて歌ってることを強調した演出なんだろうなと。

同じミュージカルでも、「手紙」みたいに(また手紙の話…)ストーリーに歌を溶け込ませる表現とは違って、これはこれで面白かった。

1幕のホリーの母親が「引っ越しの準備できたの?」って言いに来るシーンでホリーが咄嗟にマイクを背中に隠してたり、2幕のルーカスがマイケルに突き飛ばされるシーンでマイクが床に叩きつけられる音(キーーンってやつ)が意図的に含まれてたり、ストーリーにマイクの存在が介入してくる感じがひとつの表現として個人的には好きだったかな。

 

母親の流れでもうひとつ特徴的な演出、"大人"だけが人形なのも凄く不思議だった。

それもまた、ちょっと奇妙な感じの大きな人形で。

ひとつ仮説としては、"子供"と"大人"の区別をハッキリさせるための演出だと思いまして。

多分やろうと思えば生身の人間でもできたと思うんですよ、キャストの人数が足りないとかでは無いだろうし。

じゃあなんでわざわざって考えると、明確な違いとしてはやっぱり大人であることで。

マーヴィンが進路指導のときに「先生(大人)は子供の夢を踏みにじり未来への道を狭める」みたいなニュアンスのことを言うのもあって、この作品における子供から見た大人の具現化とも取れるかな〜とかも考えてみました。

自分たちとはどこか違った生き物で、少し奇妙で怖い部分もあるみたいな。

わたしが学生だったときも、大人って自分とは違うトクベツなものに見えていた気がする。なんとなく。

これに関しては色々受け取り方があると思うし、もしかしたらパッと見て高校生の彼らと見分けられるようにってだけかもしれないけど、こういう意味が込められてたら面白いよねっていう考察厨なりの楽しみ方です。

こればっかりはなかなか答え合わせの機会も与えられないから、受け取る側の自由ってことで…

 

次は…劇中歌の話をしよう!

劇中歌は原作と同じメロディーで、歌詞の意味もそこまで大きく外れてるってわけでも無さそう。

ニュアンスが少し違ったりするのは、日本人が観ることを想定した文化や言い回しの擦り合わせだと思うので…

と言っても英語はあまり得意では無いから、原曲から読み取れる歌詞にも限界があるんだけど。

まあそんな中でも、好きな歌とか印象に残ってる歌をいくつかピックアップしてみます。

 

表題曲とも言える「ルーザーヴィル」(今回は日本語Ver.のタイトルで表記)から触れようかな。

同じメロディーで違う歌詞を歌うのって心情や状況の違いや移り変わりを表現するミュージカルではよくある方法で、この曲もまさにそれ。

1幕の終わりでは

夢じゃない

もう負け犬じゃない

ルーザーヴィル

平凡な日々にグッバイ

振り返らない

過去は捨てちゃえ

だって君がいれば

もう勝ち組ルーザーヴィル

って歌ってるんだけど、2幕の終わりでは

夢じゃない

負け犬でもいい

ルーザーヴィル

平凡な日々にグッバイ

振り返らない

前に進もう

勝ち負けなんて関係ない

ここがいちばんルーザーヴィル

って歌ってるんです。

「負け犬でもいい、過去を捨てるわけじゃなくて前に進もう」っていう登場人物それぞれの心情の変化みたいなものがこの歌詞には込められていて、特大ハッピーエンドに相応しい終わり方。

10年一緒にいた幼馴染のルーカスがマイケルに相手して貰えなくなるのも「過去は捨てちゃえ」って歌詞に繋がってると思ったので、最後その歌詞が「前に進もう」になることでかなり救済されました。

あとは同じ1幕でもルーカスが歌うとまた違ってきて

おしまいだ

俺の物語はどうなんの

書き直させてよ

なぜこうなった

君の笑顔が

頭から離れない

叶わない夢見る

俺は負け犬ルーザーヴィル

という感じで、とても前向きとは思えない切ない歌詞に。

親友だし自分でジャンケンしようって言ったし応援するって決めたし…でもやっぱ無理…って思い始めたらもう止まらないよね。

自分の好きな人が友達と付き合うなんて学生の恋愛あるあるだし、起承転結の"転"を担うキーパーソンということを抜きにしてもルーカスのこの心情は妥当というか。

同じ事象(マイケルとホリーが付き合う)に対しての感情の違いを同じメロディーに乗せるとかいう、ある種残酷なこの表現がたまらん。

あと個人的にルーカスのソロパートで「ひとりにしないで、どうか」って歌うとこ、心がギュッとなって苦しいけどとても好きです。

 

同様に1幕と2幕で共通して歌われる「落ちこぼれ」も帰りに口ずさみたくなる曲。

歌詞にパンチが効いてるというか、客席の大半がオタクで構成されてる舞台でこの歌詞は死人が出るよ…みたいな曲でもありますね。

存在価値もない

ゴミも同然のオタクたち

惨めな奴だ

何もかも上手くいかない

哀れな人生

構う価値もない

君たちがくすぶってる間に

幸せな家庭を築けば

給料も右肩上がり

君たちみたいな

落ちこぼれとは程遠いな Yeah

Yeahとか言ってる場合ではない。

何が怖いってさ、なにひとつ否定できないのよ。

少なくとも自分はこれに当てはまるタイプの"オタク"だと思ってるので。

まあそれはさておき、何度も出てくる「落ちこぼれとは程遠いな」という歌詞、1幕と2幕で対象が変わるんですよね。

1幕ではエディを筆頭にしたクラスの陽キャ軍団に対して、2幕ではマイケルやルーカスたち、つまりゴミも同然とまで言われたオタクたちに対して。

結局みんな落ちこぼれなんかじゃないという、これまたハッピーなエンディングで気持ちがいいね。

なんとなく、昔より今の方が世の中にオタクという種族が認められつつある現実世界とリンクするような気もする。

最近はオタクであることをステータスにする人もいるらしいですよ。

オタクが世界を変えるってのもあながち間違ってない気がするのは、自分もまたオタクだからかな。

 

「ホリー、俺と」はルーカスのソロ曲。

まさか克樹くんより先にルーカスのソロ曲がこの世に生まれるとは思いませんでしたよ。

この曲もまあ、切ないというか苦しいというか。

俺の彼女になってホリー

二人を見るのは辛い

手助けしなけりゃ

友達のままでいれたのに

ねえ、ホリー

あんなクズなんかとじゃなくて

俺と一緒になろう

ホリー、俺と

幼馴染の親友のことを「あんなクズ」とまで言わせてしまったのって、マイケルがホリーと付き合ったからという理由だけではないんだよね。

ボーリングもカフェも映画もひとりぼっちとか普通にわたしでも泣くし。

断られるならまだしも、約束してたのに来なかったらそりゃあ吐くまでポップコーン食べちゃうよ。

ちなみにこのシーンの「吐いた、ガチで」と「犬もひとりで散歩行くようになるかもな!」って台詞がアメリカっぽいなと思いました。余談です。

話を戻すと、フランシスやマーヴィンも含めルーカスの周りがみんな充実して自分がひとりぼっちになったから、その寂しさを手っ取り早くマイケルのせいにしとこうみたいな。

幼馴染だからこその甘えみたいなのもある…多分。

最後にレイアと良い感じになるのも、ホリーが欲しいという気持ちから寂しさを埋めてくれる"誰か"が欲しいに変わっていった結果だと思うし。

あと普通に失恋したとき優しくされると惚れやすいっていう恋愛あるある。

そんでこの曲、後ろに青い薔薇が咲いてから散っていく映像が流れてるんだけど、花言葉が「夢叶う」の青い薔薇が散ってしまうことにも意味を見出して切なくなってました。

マイケルは自分の夢であり好きなことであるコンピューターがきっかけで女子と上手くいったのに、ルーカスの女子ウケ狙った本は出版部にも持って行って貰えないんだから…

 

ここまでかなり長々と演出やら歌詞やらについて語りましたが、最後にちょこっとマイケルとルーカスとホリーについて。

マイケルはオタク4人の中でも少し違って、SFも好きではあるけど何よりもコンピューターに熱を注いでて、それ故に3人には通じない話もあった。

「ホリーが来るまでは孤独だった」というセリフがあるように、どこかで共有できる人がずっと欲しかったんだと思う。

一方ルーカスはみんながいれば周りに何言われても平気だと思ってて、なんならちょっと周りを見下してる瞬間も垣間見えて、だからこそ安心材料が離れていくことで不安になった。

「マイケルが独り立ちしたぞ」って喜んだのも、本心だけどちょっと面白くなかったんじゃないかな。

マイケルにとってホリーは"孤独から救ってくれた人"だけど、ルーカスにとっては"孤独の原因になった人"なのかな、結果的に。

こういう人間関係もまた学校という集団にいるからこそで、高校生にスポットライトを当てた作品というのを改めて咀嚼できました。

そう、これ高校生の話なんだよね。

友達も恋人も夢も欲張りたい高校生の青春が描かれているからこそ、その道を通ってきた我々には親しみやすいのかな…なんて。

あとやっぱり、なんやかんやみんなハッピーで終わるミュージカルは多幸感が凄い。

「未来って明るいのかも」と思わせてくれる作品でした。

生バンドも素敵だったしまだまだ好きなとこは尽きないですが、この辺で一旦締めましょうかね。

 

Welcome to LOSERVILLE‼️

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